研究成果について

篠原 久典先生(名古屋大学大学院理学研究科教授)へインタビュー

篠原先生インタビュー
画像をクリックでSPring-8 Channelが開きます。

 名古屋大学大学院理学研究科教授 篠原久典先生にお話を伺います。
 篠原先生は、フラーレン研究の第一人者であり、SPring-8を活用して様々なフラーレンの構造*1)を世界に先駆けて明らかにされてきた方です。

 今からほんの30年足らず前の1985年。炭素星と呼ばれる年老いた恒星の周囲に存在するであろう【新物質】を探っていたクロトー博士は、共同研究者のスモーリー博士と偶然にも我々に最も身近な原子【炭素(C)】が60個集まったサッカーボール状の中空分子が存在することを発見しました。フラーレンの発見です。
 この後、フラーレン研究は、研究者達の熱狂的な研究と偶然とも言われる発見の連続のもとに急発展します。
 2010年、篠原先生は、Li@C60(リチウムイオンを内包するフラーレン(金属内包フラーレン))*2)について、世界で初めて構造決定から、単離・大量生成することに成功しました。大量生成されるようになった各種の金属内包フラーレンは、今や既に、電子材料への応用やMRI造影剤への応用など様々な実用化の途にあります。

 篠原先生は、「大きなサイエンスは、何故か、セレンディピティが多い。」と話されます。
 "セレンディピティ"とは、"ふとした偶然をきっかけに閃きを得、幸運を掴み取る能力のこと"です。
 インタビューでは、フラーレンやカーボンナノチューブの発見や開発の歴史、先生の研究背景を伺っています。お話からは、如何に[サイエンス]は[セレンディピティ]からなるものであるか、を皆さんに感じていただけるかと思います。
 是非、SPring-8 Channelにてご視聴ください。

 

篠原 久典 (しのはら ひさのり)

理学博士
専門分野: ナノカーボン(フラーレン・ナノチューブ・グラフェン)を中心とする新奇ナノ・スケール物質の創製、探索とナノテクノロジーへの展開。
1953年生まれ。1977年信州大学理学部卒、1979京都大学大学院理学研究科 化学専攻 博士前期課程 修了。同年博士後期課程中退、分子科学研究所助手、三重大学工学部助教授、名古屋大学理学部教授を経て、1996年から名古屋大学大学院理学研究科教授。2012年より、名古屋大学大学院理学研究科研究科長。現在、他に、東北大学 WPI(原子分子材料科学高等研究機構)連携教授、浙江大学(中国)理学部物理学科 併任教授。 1996年日本 IBM 科学賞、2010年日本化学会賞、2011年中日文化賞、2012年応用物理学会論文賞などを受賞。主な著書に『ナノカーボンの科学』-セレンデイピテイーから始まった大発見の物語―/講談社ブルーバックス/2007、『フラーレンとナノチューブの科学』/名古屋大学出版/2011 がある。

 

*1)*2) 篠原先生がSPring-8を活用して明らかにした衝撃的なフラーレンの構造の一つにSc2@C66があります。スカンジウム金属原子を取り込んだ金属内包フラーレンは、それまで[孤立五員環則(IPR)]に従うとされていたフラーレン構造を破った構造をしていました。

Sc2@C66/Li@C60

カテゴリ研究者インタビュー投稿日2013年3月15日 09:20